WHY ORGANIC?
有機栽培とは、遺伝子組み換え技術を使わないこと。それから、化学的なプロセスで作られた肥料ではなく、動植物質を活用して作られた肥料を用いた栽培方法です。具体的には、動物達の落とし物(牛・馬・豚・鳥)や魚粉、骨粉、落ち葉や敷きわら、笹、竹、雑草、大豆、米糠、油かすなど様々な自然の力から作ることができます。
私達は、化学肥料を使わず、代わりに今回は、米糠とオカラ(国産・遺伝子組み換えではない)を中心にした有機肥料を自分たちの手で作って、使用しています。その理由は以下5つです。
- 持続可能な米作りを目指している観点から、枯渇資源の化石燃料を原料とした化学肥料は、私たちが目指す方向性とは異なります。
- 化学肥料ばかり使用していると、土中の微生物が失われます。さらには、微生物の働きにより成立していた土中の生態系も崩れ、土の保水力や保肥力を失います。年々土が痩せていくため、メーカーはより高濃度な商品を開発。負の連鎖が続いています。尚、植物が吸収しきれなかった化学肥料は、地下水に流れ、川に乗って、海へと集められていき、環境汚染の原因になっています。世界的にも、使用を減らす動きが出ており、環境保全型農業を目指す素人の私たちは、この点からも化学肥料の使用に、違和感を覚えました。
- 化学肥料の原料は、ほぼ全てを輸入に依存しています。現在は、異常気象や戦争が影響し、社会情勢が不安定になり、価格が2倍以上に高騰。今後は、世界的な人口増加に伴い、ますます入手困難になる恐れがあります。 さらに、CO2排出削減の面からも、フードマイレージを減らす努力が必要になると感じ、肥料作りから地産地消を目指し、出来ることから取り組むことにしました。
- 今回使用した材料は、フードロスを改善することにも役立ちます。玄米を精米する際に出る米糠も、お豆腐を作る際に出来るオカラも、通常は産業廃棄物になってしまいます。そんなの勿体ない!土に返してあげれば、また新たしい命を誕生させてくれるのです。
- 味が良い♡お米表面に集まるタンパク質には、水を通しにくい特性があります。有機栽培米は、タンパク質の量が少くなる傾向があるため、水をたっぷり吸収することができて、つやつやと美しく、柔らかく美味しいご飯に炊きあがります。やっぱり、せっかく作る以上、美味しくなくっちゃだめですよね♪
お米を有機肥料で育てる私たちは、稲が根を張る「土を豊かにする」ことに重きを置いています。豊かになると、土中に微生物が増え、稲の根は彼らとお互いに必要な栄養素を交換し合い、共響しながらたくましく成長していきます。
一方で、化学肥料で作る方法は、稲を水耕栽培で育てていることと同じ状況になります。お腹がいっぱいでも、稲たちは常に栄養を与えられる状況が続きます。聞いた話ですが、人間でもお腹がいっぱいなのにもっと栄養ドリンクを飲め!と言われたら、もう苦しくて入らないよ・・・とストレスを感じますが、同じコトが稲にも起こっており、活性酸素を発生させているそうです。一般的に、有機栽培では味は変わらないと言う方もいますが、近年調査が進み、有機栽培で作られたお米には、化学肥料で作られたお米と比べ、免疫力を高めるとされる抗酸化物質が多く含まれているというデータが出てきました。まだまだ稲には未知の部分がありますが、今自分で調べている限りでは、有機栽培に関心があり、取り組んでいます。自分と家族、そして顔が見える大切な仲間達が口にするものだからこそ、納得がいくお米を届けたいと思っています。
農家さんにおいて、有機肥料は作る手間や、肥料の効果が化学肥料のように均一ではないなどといったデメリットから、現状は広まっておりません。しかし、皆が有機栽培へ一歩進めば、大手メーカーも品質価格ともに納得がいく有機肥料への生産に乗り出し、オーガニックが当たり前になる時代が来ることを願っております。